今回は、ライトゲームロッドの「エバーグリーン ポセイドン ソルティーセンセーション スペリオル シャープカット64UL」について、8ヶ月間の釣行で見えてきた特徴について紹介します。
私自身、今まで様々なライトゲームロッドを使用してきました。
自身で購入したロッド以外にも、仲間に借りて使ったロッドも多数あります。
最初のうちは何が良いのか、自分に合うロッドとはどのようなロッドなのかが全くわからないまま、ただネットの情報に踊らされて色んなロッドを購入してきました。
釣りを始めた当初は年間300日前後釣行していたため、日々右肩上がりに釣果を伸ばすようになり、だんだんと「こんな感じの竿があればいいな〜」とぼんやりとした”要望”が生まれてくるようになりました。
「要望が生まれる→釣具屋さんで要望に合うロッドを購入→魚を釣る→新たな要望が生まれる」
というサイクルを何度か繰り返していくうちに、ようやく自分の欲しいロッドというものが見えてきました。
その要望を全て叶えてくれたロッドが、今回紹介する「エバーグリーン スペリオル シャープカット64UL」です。
このロッドは、決して安い竿ではありません(なんならこんな高過ぎる竿買うなんて理解できないと思われる方も多いと思います)。
ですが、このロッドの購入を検討されている方は「こんな感じのロッドが欲しい」という”要望”が見えている方だと思いますので、是非本記事を参考にしていただければ幸いです。
本記事では、以下について細かくインプレッションしていきます。
- キャスト
- 操作感
- フッキング
- ファイト
ただし、先に注意しておきたいのが、このシャープカットというロッドは、あくまで「私のメインフィールドに合ったロッド」だということです。
フィールドの特徴が違えば、アングラー側のロッドに対する”要望”は必然的に変わってくるものだと思います。
読者様のメインフィールドが、今からご紹介するフィールドの特徴に当てはまるものであれば、最高のロッドになり得ると認識していただいても大丈夫です。
※個人的見解が含まれますので、鵜呑みにしすぎないようご注意ください。感覚は人それぞれ違って当然ですので、できれば釣具店で現物を触ってから、最終的な購入のご判断されることを推奨します。
Contents
私のメインフィールドの特徴
私のメインフィールドは瀬戸内海です。
瀬戸内海の特徴として、激流でシャローポイントが多いということが挙げられます。
私がよく行くポイントは以下のような特徴のポイントです。
- 足場が2〜3mの高さで水深が3〜5mの堤防
- 足場が4〜6mの高さで水深が5〜8mの堤防
- 足場が4〜6mの高さで水深が10〜15mの堤防
- 足場が1〜2mの高さで水深が3〜5mのテトラ帯
- 足場が0〜2mの高さで水深が1〜4mの地礒
そして、どのポイントも潮流は速いです。
お気づきの方はこう思われたでしょう。
「かなり幅広いシチュエーションをカバーできるじゃん!」
そうなんです。
慣れさえすれば、どんなシチュエーションでも高次元のライトゲームが可能なロッドであるということです。
ですが、中でも特に適した場所が「足場が低い堤防」「テトラ帯」「水深の深い(10〜15m)ポイント」において、非常に大きいアドバンテージがあります。
どうして、このようなポイントで真価を発揮できるのか。
「キャスト」「操作感」「フッキング」「ファイト」それぞれについて掘り下げながら、その理由について説明していきます。
キャスト
一言で言うと、
飛ぶ〜😂
って感じです。
非常に糸抜けが良く、ロッドレングス(長さ)の割に飛距離がかなり伸びます。
その理由として考えられるのは、
- 最小限に抑えたガイド数
- スローテーパーによるしなり
上記2点が飛距離にアドバンテージを与えている要素だと思います。
まず1番目の「最小限に抑えたガイド数」についてですが、
今まで私が使ってきたライトゲームロッドの中では最小個数のガイドセッティングで、最初に現物を見た時、少し不安になるほどガイド数が少ない印象でした。
しかし、それ故にラインがガイドに干渉する面積を少しでも減らすことができるため、飛距離UPに繋がっているのだと感じました。
次に2番目の「スローテーパーによるしなり」についてですが、
最近のアジングロッドの特徴として、ファストテーパーでかつファストアクションのロッドが多く見られます。
ここで、ファストテーパーやファストアクションという聞きなれない言葉が出てきたと思いますので、少し解説します。
まず用語の説明として、テーパーとは棒状の構造物が先細りになった形状ことを言い、アクションとは曲がる部分のことを言います。
テーパーは先細り角度が急なものをファスト、先細り角度が緩やかなものをスローと言います。
次にアクションの種類として、
- エキストラファスト…先から1/4の部分から曲がる
- ファスト …先から1/3の部分から曲がる
- レギュラーファスト…先から5/12の部分から曲がる
- レギュラー …先から1/2の部分から曲がる
- スロー …ロッド全体が曲がる(バット部から)
テーパーとアクションについては、これを覚えておくだけで、カタログスペックから大体自分の欲しいロッドを絞ることができます。
ただし、カタログスペックだけで判断してロッドを購入することはおすすめしないので、時間が許される方は、店頭で手に取ってチェックしましょう。
少し話が逸れてしまいましたが、
今回紹介するシャープカット64ULは、ベリーからバット部分がスローテーパーで、ロッドアクションはレギュラーアクションであるため、しっかりとロッドのベリー部分にルアーの重さを乗せてキャストできます。
そのため、軽いルアーをキャストしやすく、飛距離も伸びやすくなっている印象を受けました。
キャスト可能なルアーウェイト
シャープカット64ULを手にしてから、様々なフィールドに足を運び、多種多様なルアーをキャストしてきました。
その中で、最もキャストしやすかったルアーウェイトは1.5〜2.0gでした。
このくらいのウェイトのルアーだと、しっかりとロッド全体をしならせてキャストすることができ、非常に飛距離が出せます。
また、慣れてくると0.3gのジグヘッドも問題なくキャスト可能でした。
さらに、非常に驚かされたのが、7.5gのフロートリグもタラシ(キャスト寸前のロッドティップからルアーまでの距離)を1メートル程取れば十分キャストが可能だったということです。
これにより、ちょっとした地磯やテトラ帯などでジグ単では届かない範囲のシモリ周りを攻めることができました。
キャストひとつとっても、非常に強靭かつしなやかさを感じた良いロッドという印象です。
※エバーグリーン公式サイトで公表されているシャープカットの適合ルアーウェイトは0.4〜5.0gであるため、表記重量以上のルアーのキャストは初心者の方にはおすすめできませんが、フルキャストさえしなければ、十分キャスト可能であり、非常に大きな武器になり得ると感じました。
操作感:贅沢な要望を叶えるロッド
続いて、操作感について説明します。
まず、サブタイトルにもなっている「贅沢な要望を叶えるロッド」というワードに引っ掛かった方がいらっしゃると思うので、その「要望」とはどんな要望なのかについて話します。
私がライトゲームを始めた初期の頃、3年間使い倒したライトゲームロッドが「ヤマガブランクス ブルーカレント74Ⅱ」でした。
このロッドは7フィート4インチのチューブラーロッドで、ライトゲームカテゴリーにおいては、いわゆる長竿の部類に入るかと思います。
このロッドは非常に良いロッドで、不意の大物にも屈することなくファイトができ、何よりも良く曲がってくれるロッドだったので、楽しく釣りをさせてもらえました。
そんな良竿でしたが、「長さからくる細かいアクションのつけにくさ」と「チューブラーロッドゆえの抜けアタリのとりにくさ」を感じ、もう少し繊細なロッドを購入することを決心しました。
そして、次に選んだロッドが「がまかつLUXXE 宵姫 華 69FL」でした。
このロッドは、6フィート9インチで、ジグ単特化型のアジングロッドの中では長竿にカテゴライズされるロッドだと言えるしょう。
このロッドはソリッドティップセクションで穂先が繊細であるため、潮流を感じ取りやすく、適度に穂先が入る(もたれる)ため、抜けアタリを感じやすいという利点がありました。
しかし、スローテーパーのスローアクションであったため、アクションのつけ方が独特で細かいシェイキング等のアクションがつけにくく感じたのと、ロッドパワーがFL(フェザーライト)ということもあり、水深の深いところでのアクションがボケやすく、非常にピーキーさを感じたため、次の竿の購入を決心しました。
この2本のロッドを使い込むことによって生まれた”要望”は、
- 繊細なアクションをつけられるロッド
- 水深が深いポイントでも操作感を失わないロッド
- 抜けアタリがとれるロッド
- チューブラー特有の高反響感度を持ったロッド
- 高強度なロッド
この「繊細さ」と「強さ」の両立という高い壁を越えるロッドが欲しいという”贅沢な要望”が生まれ、ずっと探していたところ、ようやく「シャープカット64UL」に出会えることができました。
シャープカット64ULの操作感
シャープカット64ULの操作感については、目を見張るものがあります。
ロッドをお貸しして、実際に使用してみていただきたいところですが、現実的ではないため、出来るだけ言語化してお伝えしようと思います。
シャープカット64ULの最大の特徴は「先径1mmのチューブラートップ」だということです。
これは、チューブラートップロッドの中で、私の知る限り最も細い先径であり、この極細チューブラートップによって多大な恩恵を受けられます。
その恩恵は以下の4点です。
- キレのある軽快な操作
- 水深が深くても操作がぼやけないこと
- 圧倒的な反響感度
- 極細トップによって少し穂先が入ること
①から順番に解説していきます。
まず、①「キレのある軽快な操作」についてですが、
チューブラートップはカーボン(チタン)ソリッドトップに比べ、中身が詰まっていないため、物理的に軽いです。
穂先が軽いという事は、軽い力でリグをアクションさせることができるということです。
これにより、マイクロシェイキングが非常に簡単に出来るようになります。
また、先重り感も全く無く、19ヴァンキッシュなどの超軽量リールとの相性も抜群です。
次に、②「水深が深くても操作がぼやけないこと」について、
チューブラートップのロッドは穂先まで筒状ということもあり、一般的にロッドティップにハリがある仕上がりになります。
よって、水深の深いポイントにて、ルアーに大きな水圧がかかったとしても、ティップがその水圧に負けてしまうことなく、しっかりとアクションさせられます。
華奢なソリッドトップのロッドだと、水深が10メートルを超えるようなポイントではロッドティップが水圧に負けてしまい、キビキビとしたアクションが不可能になります。
シャープカット64ULは、水深の深いポイントでもキビキビとしたアクションをかけることができるのと同時に、力の加減によってはフワフワとしたアクションもかけられます。
アングラーの腕次第で、かけたいアクションが自在にかけられるという、非常に自由度の高い操作性を持ったロッドです。
続いて、③の「圧倒的な反響感度」についてですが、
これについては、さすがのハイエンド機種ということもあり、最強です。
今までアタリと認識していなかったであろうアタリに対して、ちゃんとアタリと認識して積極的に掛けていけるようになります。
また、特筆すべきは、張らず緩めずのフリーフォール気味のフォール中のアタリの鮮明さが段違いだということです。
一般的なロッドで、張らず緩めずのラインテンション時に出るアタリを感知するのは、少し難しいのですが、
シャープカット64ULでそのアタリをとると、「キーン!」と響くようなアタリを感知できます。
これについては、実際にこのロッドを使用された人しか知り得ないことなので、購入して実釣される際のお楽しみにしておいてください☺️
最後に、④「極細トップによって少し穂先が入ること」について、
まず、ソリッドトップのロッドは穂先が非常に細く製造でき、その極細トップがジグヘッドの重さと潮流によって若干もたれることで、潮流や水圧の変化を正確に伝えてくれるというメリットがあります。
一方で、一般的なチューブラーロッドは、穂先までハリが強過ぎるため、ルアーに潮流や水圧による若干の加重がかかっても、わかりにくい場合がほとんどです。
しかし、このシャープカット64ULは先径がわずか1mmという極細トップとなっているため、潮流や水圧による荷重に対して適度に穂先が入ります。
そのお陰で、潮流変化の把握は勿論のこと、アジやメバルの食い上げによるテンションの抜けアタリを手感度として捉えることができます。
これは革命と言う他ありません。
フッキング:スピード・パワー共に不足無し
次に、シャープカット64ULにおけるフッキングの印象についてお話しします。
現在、アジングロッドは5フィート台のショートロッドが主流になっています。
これは、単純明快な仕掛けであるジグ単でアジングをされる方が多いからだと思っています。
場所によっては、フロートリグやキャロ、スプリット、更にはダウンショットを使った釣りが必要になる場面もあります。
しかし、こういった比較的複雑なシステムを要する釣り方だと、どうしても7フィート以上のロングロッドが有利になります。
話を戻しますが、ジグ単専用ロッドは”感度(アタリを捉える感度や操作感度)”が肝要になるため、どうしてもショートレングスが有利になります。
しかし、ショートレングスによるデメリットのひとつとして、フッキングストロークの短さが挙げられます。
アングラーの手元を支点とした時に、ロングロッドとショートロッドとでは、半径が変わります。
つまり、同じ振り幅のフッキングでも穂先の移動距離が変わるため、ショートロッドよりもロングロッドの方がフッキング威力が強いのです。
シャープカット64ULは、ジグ単アジングロッドの中では、ミドルレングスクラスのロッドだと思います(※個人的見解)。
この6フィート4インチというレングスは、ジグ単ゲームにおいてフッキング力不足を引き起こすことなく、高感度を保ってくれるという絶妙な設定だと感じました。
フッキングの動作一つとっても、ここまで無駄の無いロッドを作れるのかと感動します。
ファイト(やりとり):”柔よく剛を制す”
ファイトについては、アジングロッドとしては強い方だと思います。
「柔よく剛を制す」というサブタイトルにもあるように、しなやかさと強さが光るロッドです。
魚の走りをいなす時と魚を浮かす時のメリハリが、ハッキリとしていることを感じます。
ロッドの曲がりについてはレギュラーアクションであるため、ロッドの中央からベリーにかけての部分が程よく曲がり、溜めが効きます。
このシーバスはアジングをしている時に釣った3匹で、マックス60センチありました。
このくらいのシーバスであれば、しっかり溜めが効き、全然不安を感じることなくやりとりができました。
先程お話しした、最近主流になっているショートレングスでかつファストテーパーのアジングロッドでの大物とのやりとりは、溜めがほとんど効かないため、腕が疲れてしまいます。
対してシャープカット64ULは、不意の大物にも真っ向勝負という感じではなく、魚の走りをいなしながらスマートに寄せて来られます。
本当に優秀すぎる。。
ただし、これだけは言っておきます。
メバリングを本気でされる方には向きません。
確かに、「アジングロッドでするメバリング」というふうに割り切ってやられるのであれば、十分だと思います。
しかし、メバリングガチ勢(メインフィールドが地礒などのタフなフィールドでメバリングをされる方)にとっては、
パワー不足かつレングス不足
を非常に強く感じると思います。
よって、シャープカット64ULは、堤防でのメバリングやアジングをメインに楽しまれる方には強くおすすめできます。
※シャープカットでは礒での釣りができないというわけではありません。腕次第では十分できますが、少し難易度は高くなるということですので、誤解されませんようご注意下さい。
まとめ
まとめに入る前に、
組み合わせるリールは150g前後の軽量リールがおすすめです。
参考までに、私は19ヴァンキッシュC2000HGを合わせて使っています。
それでは、今回のまとめです。
- 足場の低い堤防や水深の深いポイントで有利
- レングスの割に飛距離を出しやすい
- 自由度の高い操作性
- 水深の深いポイントでもしっかりとアクションができる
- 穂先が若干入るため、抜けアタリや潮流の把握ができる
- フッキング力不足は感じない
- 不意の大物に対してもスマートに寄せて来られる
シャープカット64ULの凄さに恍惚としてしまい、長文となってしまいましたが、
そのくらい、褒めるところが多いロッドだということです。
非常に高価なロッドではありますが、
間違いなくアングラー側に大きなアドバンテージを与えてくれるロッドであると同時に、
自分の釣りのステップアップを大きく助長してくれるロッドです。
冒頭でもお話ししましたが、読者様のメインフィールドが私のメインフィールドの特徴と類似するものであれば、買って後悔することはないと思います。
是非、ご自身が満足できる一本で、大切な釣りの時間を楽しみましょう。
それでは皆さん、楽しく安全に、より良いフィッシングライフをお過ごしください☺️