今回は、「スレたメバルを釣るためのフォールアクション」について解説していきます。
まず始めに、本記事は以下のような悩みを解決します。
- スレたメバルに効果的なフォールアクションを知りたい
- 大きいメバルの釣り方がわからない
ここ数年の間で、釣りをされる方の数が一気に増加しており、今はまさに釣り業界のバブル期とも言える状況だと思います。
しかし当然のことながら、アングラーの増加に反比例するように釣れる魚の数が減少しているということが、現在の実情です。
足場の良い堤防などの人気ポイントはもちろんのこと、
以前までは人気のなかったテトラ帯においても、アングラーの増加に伴い、
スレた(釣りにくい)メバルが増えているように思います。
今回は、そのようにスレた(釣れにくくなった)メバルにも口を使わせられるフォールアクションについて、細かく解説していきます。
なお本記事は、水中でのルアーの動きをイメージしていただきやすいよう、ジグヘッド単体リグに焦点を当てて解説していきます。
※フロートリグ、スプリットリグ、キャロライナーリグ等においても応用していただける基本的な内容です。
メバルの生態
本記事を読みに来てくださった方の中には、
「メバルの釣り方が全然わからない」と悩んでいる方も少なくないと思います。
それでは、何故メバルが釣れないのでしょうか。
アクションのやり方が間違っているからでしょうか?
それとも、使っている釣具が粗悪品だからでしょうか?
いいえ、違います。
答えは、
メバルの生態を把握していないからです。
例えば、メバルの生態を全く知らない状態でメバルを一匹釣ったとしましょう。
すると、多くのアングラーはどのような思考に至るのか、
「このルアーを使っていたから釣れた」と解釈してしまうでしょう。
しかし、これは結果論でしかなく、再現性の低い一元的な思考です。
こういったルアーにしか頼らない思考になってしまうと、
あれもこれもとルアーを買い漁り、お金の無駄遣いをしてしまうだけでなく、
前回釣れたルアーで魚が釣れなければお手上げ状態となり、背中を丸めて帰宅するといったケースが増えてしまいます。
何故そのように言い切れるのか。
それは、私も経験してきたことだからです。
アングラー主体の釣りをしていては、いつまで経っても「釣れない」という沼からは抜け出せられません。
常に魚主体の目線を持つということが、「釣れない」という沼から抜け出せられる唯一の鍵だと思います。
前置きが長くなってしまいましたが、非常に重要なことだと思いますので、先にお伝えしておきます。
それでは、本題に入ります。
メバルの生息環境
メバルは「カサゴ目メバル科メバル属」に分類され、
さらに細かく分けると「アカメバル」「シロメバル」「クロメバル」の3種類から成り、
アカメバルの胸ビレ軟条数は15本、クロメバルは16本、シロメバルは17本と言われています。
メバルの生息域については、北は北海道から南は九州にかけて広く生息し、
特に好んで居着くフィールドの特徴として、
テトラ帯や藻場、岩礁などといったストラクチャーフィールドが挙げられます。
メバルは、青物などのように泳ぎが上手(速)いわけではないため、
基本的にはストラクチャーに身を寄せて、立ち泳ぎのような格好で、上を向いてホバリング(水中で定位)しています。
そして、潮流によって目の前に流されて来たベイトを捕食するのです。
ここまでの説明が、「メバル 生態」で検索するとわかるような、広く一般的な知識です。
デカい個体は潮に着く
ここからは、私の実釣経験に基づく見解をお話しします。
私が数年間メバリングをしてきて辿り着いた、ある一つの答え。
それは、
「デカい個体は潮に着く」
ということです。
ストラクチャーとは、何もテトラ帯・藻場・岩礁などといった「目に見える物質的なもの」だけではなく、
複雑な潮流によって形成される「流れの変化点」についても、一種のストラクチャーと捉えることができます。
では、その「流れの変化点」とは一体どういうところを指すのか、
それは、
「本流と反転流から成る潮流が緩むゾーン」です。
最近メバリングを始められた方からすると「なんだそれは?」と思われるかもしれません。
「本流と反転流から成る潮流が緩むゾーン」が分からないという方は、
潮通しが良く、地形起伏の激しい地磯などのフィールドでフロートゲームを試してみることをおすすめします。
フロートリグ(飛ばし浮き)はジグヘッドに比べて表面積が大きく、潮流の影響を受けやすくなるため、
潮流速度(潮流が緩むゾーン)を把握しやすくなります。
では何故、「本流と反転流から成る潮流が緩むゾーン」が大型のメバルが着くストラクチャーとなり得るのか?
次項「メバルの食性」に関連付けて解説します。
メバルの食性
メバルは以下の生物を主に捕食します。
ベイトフィッシュ |
|
---|---|
甲殻類 |
|
その他 |
|
時期や地域性によって、どの生物を捕食しているかは異なりますが、
基本的には、それらを模したルアーを使ってメバルの反応を探り、
”マッチザベイト”という理想に近づけていくことが近道となります。
デカい個体が潮に着く理由
さて、ここからは前項「メバルの生息環境」の末尾でお話しした、「本流と反転流から成る潮流が緩むゾーン」と食性にどのような関係性があるのか、ということについて解説していきます。
上記のようなベイトは比較的小型生物であるため、遊泳力が低いと言えます。
遊泳力が低いということは、つまり、強い流れに逆らうことができないということになります。
本流に乗ったベイトは、そのまま流され続けますが、
地形の起伏や堤防・テトラ帯などの障害物に本流がぶつかることよって発生する反転流と本流とが交わり合って形成される「潮流が緩むゾーン」においては、
遊泳力の低い小型ベイトが”どんどん溜まっていく”という状況にあるため、
メバルにとって「格好のエサ場」が形成されるという環境メカニズムが構築されると考えられます。
では何故、「デカい個体は潮に着く」と言えるのか。
それは、
「潮流が緩むゾーン」と言えど流れのある中で、ホバリング状態を維持し得る発達した筋力が求められるからではないか。
と、私は分析しています。
激流の中で、大型のメバルを釣ったことのある方ならわかると思いますが、
「潮に着く個体」は筋骨隆々とした大型個体の割合が高いです。
「メバルは潮を釣れ!」という言葉をよく耳にしますが、特に初心者の方にとっては分かりづらい言葉だと思いますので、
「本流と反転流から成る潮流が緩むゾーン」を探し当てて、そこに居るメバルを釣ること。
というふうに覚えていただければ良いかと思います。
メバルの産卵期
メバルの産卵期は「12月から2月」と言われています。
地域性や個体差はあるものの、私のメインフィールドである瀬戸内海においても、
メバルの産卵期は、だいたいそのくらいの時期であると感じています。
では、産卵期から見たメバリングに適する時期はいつなのか。
順を追って解説します。
11月から1月初旬
この時期のメバルは、産卵を控えた抱卵個体が多く、
いわゆる「産卵前の荒喰い」により、比較的数が釣れます。
晩秋ということもあり、ベイトフィッシュパターンが多いので、
リトリーブなどの横の動きに好反応を示す個体が多いように思います。
1月中旬から2月下旬
この時期のメバルは、産卵真っ只中ということもあり、
著しく体力を消耗しまっているため、
食い気が下がっていることが多いと言えます。
しかし、2月下旬にもなると、すでに回復期(アフター)に入った産卵の早い個体もいるため、
場所によっては数が釣れることがあるのも、この時期の特徴と言えるでしょう。
3月以降
3月以降は、産卵を終えて本格的に回復期(アフター)に入る個体が多く、
メバルの食い気が高まり、サイズと数を出しやすくなる時期と言えます。
また、全国の”メバリスト”達が最も家からいなくなる時期と言っても過言ではないでしょう😂
地域によっては、「ホタルイカパターン」や「アミパターン」と言われる偏食性を見せることも、この時期の特徴と言え、
食性パターン(マッチザベイト)がハマれば、爆釣する可能性が高いメバリングのハイシーズンです。
フォールアクション
本章では、「最近メバリングを始めて、アクションのやり方が全くわからない」という方に向けて、できるだけ易しく解説します。
まずはじめに、フォールアクションとはどういうものなのか。
それは読んで字の如く、
ルアーが、フォール(落ちる)する、アクション(動き)
のことです。
では何故、このフォールアクションがメバルに効果的なのかというと、
前章でお伝えしたとおり、
メバルはストラクチャーに身を寄せて、立ち泳ぎのような状態で、上を向いてホバリングしています。
つまり、上から「落ちてくるもの」に対して反応を示しやすいということから、
フォールアクションがメバルに効果的という理論になります。
では、本章で私が読者様に何を一番お伝えしたいのか。
それは、
「フォールのさせ方が肝心」だということです。
ここで、頭の中が「?」になった方は、本記事の内容を実践していただくと、おそらく釣果が爆発的に飛躍することでしょう。
それでは、どのようなルアーの落とし方があるのでしょうか。
大きく分けると、
「フリーフォール」と「テンション(カーブ)フォール」の2種類に分けられます。
フリーフォール
フリーフォールとは、
「テンションがフリー(かかっていない)状態でリグがフォールすること」です。
最も分かりやすい例を挙げるならば、
キャスト後にリールのベールを返さず、そのままラインを放出している状態におけるリグの落ち方がフリーフォールにあたります。
フリーフォール中のリグは、鉛直下方に落ちていく動きをします。
カーブ(テンション)フォール
カーブ(テンション)フォールとは、
「テンションがかかっている状態でリグがフォールすること」です。
キャスト後、リールのベールを返してラインスラックを回収し、ラインを張った状態におけるリグの落ち方がカーブ(テンション)フォールにあたります。
カーブ(テンション)フォール中のリグは、ロッドの穂先を中心点として、リグが円弧を描くように落ちていく動きをします。
スレたメバルを釣るためのフォールアクション
前章の内容は、玄人アングラーの方からすると、読む必要の無いような、非常に基礎的な内容かもしれません。
しかし、釣果に伸び悩んでいる玄人アングラーの方にも、今一度基礎に立ち返ることができる内容なのではないかと思っていますので、
本記事を備忘録的に活用していただければ幸いです。
何をするにしても、基礎は最も大切なことであり、
「テクニック」とは所詮基礎の応用です。
基礎をとことん極めることで、「こうすればもっと良くなるんじゃないか?」といった「発想」が生まれると私は考えています。
特に、フォールアクションを徹底的に体に叩き込むことで、
釣りにおいて非常に重要な「レンジ把握」や「リグの沈下速度」を体で覚えることができ、
様々なフィールドに対応できるようになるだけではなく、
状況に合わせた釣りができるようになることで、ヒット率を上げることができます。
ただし、思考停止状態で闇雲にフォールアクションの練習をするのではなく、
常に潮流速度や風速状況を把握しながら、「今、リグはどのくらいのレンジにいて、どのくらいの速度でフォールしているのか」ということをイメージしながら釣りをすることが肝要になります。
また、初心者の方に最も効果的な練習方法が、
「デイゲームでリグの動きを確認しながらアクションしてみること」だと思います。
フォールアクションを体に叩き込みたい方は、是非デイゲームにチャレンジしてみてください。
スレたメバルを釣るためのフォールアクション:潮流にルアーを乗せるフォール
想像に易いと思いますが、
先ほどご説明したフリーフォールでは、ラインが弛み過ぎてしまうため、手でアタリを感じ取ることが難しくなります。
よって、魚のアタリを手で感じ取るには、カーブ(テンション)フォールでラインテンションを張った状態にしておく必要があります。
そう聞いて、
「じゃあ、キャストしてからずっとラインテンションを張っておけば良いじゃん!」
と思われた方もいらっしゃるかと思います。
もちろんそれで釣れることあります。
しかし、この記事を読みにきてくださった方の中には、
「ラインテンションをピンピンに張ったカーブフォールでは釣れない」
「他にどんなフォールアクションがあるのか知らない」
と悩まれている方も少なくないと思います。
そういった方に向けて、「少しでも釣果を伸ばすことのできるフォールアクション」をお伝えしていこうと思いますので、是非試してみてください。
では、その「少しでも釣果を伸ばすことのできるフォールアクション」とは一体どのようにすればよいのか。
それは、
「ラインテンションをコントロールして、ルアーを潮流に乗せるフォール」
です。
まず始めに、ラインテンションが最大値となる時の、ロッドとラインの成す角度は何度くらいなのか?
答えは、90度の時です。
足場の高さにもよりますが、ほとんどの場合、ロッドとラインの成す角度が90度の時にラインテンションは最大値となります。
それでは、どうすればラインテンションをコントロール(弛めることが)できるのか。
それは、
ロッドとラインの成す角度を90度以上にする(ロッドの穂先を下げる)ことで可能となります。
ただし、先程も申し上げましたが、ラインテンションを抜きすぎるとアタリを取りにくくなるため、
手感度でアタリを取れるギリギリまでラインテンションを抜く(穂先を下げる)ことをお勧めします。
またその際、リグが潮流に乗って流されている状態をイメージングすることも肝要ですので、
水中をしっかりイメージしながらリグをフォールさせましょう。
初心者の方からすると、
「少しでもラインテンションを抜いてしまうと、アタリを感じ取れなくなってしまうのではないか。」
と、不安に思われる方もいらっしゃるかと思いますが、
勇気を出して、ラインテンションを抜いて(ロッドの穂先を下げて)みてください。
意外にも明確にアタリを捉えられるだけではなく、
きっと、今までとは比較にならないほど、アタリの数が増えると思います。
ラインテンションをコントロールしてルアーを潮に乗せるとメバルが爆釣する理由
「何故、ルアーを潮に乗せるとメバルが爆釣するのか」という説明は、
「何故、ラインテンションをピンピンに張った状態ではメバルが釣れにくいのか」ということから、逆説的に説明した方がわかりやすいと思います。
何故ラインテンションをピンピンに張った状態ではメバルが釣れにくいのか。
その理由は、
ラインテンションが張られることによってルアーが引っ張られる、つまり「ルアーが潮流に逆らう」という不自然な動きをしてしまうからではないのか。
と、私は考えています。
「メバルの生態」にてご説明したように、基本的にメバルは潮流に乗って流れてくるベイトを捕食します。
完全に捕食スイッチの入ったメバルについては、潮流に逆らうものに対してもアグレッシブにルアーを追いかけてきますが、
低活性状態、および警戒心の強い大型のメバルを狙う際については、
ルアーを潮流に乗せて、メバルの目の前までルアーを運ぶといった「ナチュラルな」フォールアクションが重要になる場面が多いように感じます。
「潮流に乗って流れてくるベイト」を演出し、極力違和感を与えないようなフォールアクションを心掛けることで、
今までなかなか口を使わなかったメバルに対して、口を使わせることができるという訳です。
初心者の方へのアドバイス:釣りが上手い人が持つ3つの共通点
あなたの周りに、「釣りが上手い」仲間はいませんか?
「何故この人だけ、毎回どんなに渋い状況でも釣れるのだろう。」
そう思わせられるような経験は、誰しもしたことがあると思います。
では、釣りが上手い人の共通点とは何なのか。
私は、釣りが上手い人には大きく3つの共通点があると思っています。
魚の生態を把握している
まず1つ目は、「魚の生態を把握している」ということです。
本記事冒頭部でもお話ししましたが、これは絶対条件であり、
日々勉強することで、知識は自ずと身に付きます。
また、その知識を現場で擦り合わせることで、生態への理解が深まり、引き出しの数が増えるのです。
変化に敏感である
次に、2つ目の共通点として、「変化に敏感である」ということが言えるでしょう。
釣りが上手いアングラーは、
潮流や風の変化、潮の動き出しや止まるタイミングに対して即座に反応し、
それに合わせて釣り方やルアーチェンジを行います。
これについては、「経験がものを言う技術」だと思うので、
すぐにできるようになるという事は不可能ですが、
愚直に釣行回数を積み重ね、トライアンドエラーを繰り返していく事で、
自ずと身に付いていく技術だと思います。
ロッドを軽く持つ
最後に、3つ目の共通点は、
2つ目でご説明した「変化に敏感であること」を可能にするための技術であり、
誰でも今すぐに実践できるものです。
3つ目の理由、それは
「ロッドを軽く持つ」ということです。
特に初心者の方が陥り易いのが、
周りが釣れていて自分だけ釣れていない状況の時に、
「自分も釣りたい」と焦る気持ちから、
グリップを握る手に力が入りすぎてしまう傾向があります。
こうなると、潮流の変化はおろか、魚のアタリすら感じ取れなくなってしまいます。
どれだけプレッシャーのかかる状態であっても、グリップを握る力だけは常に緩めておくようにしましょう。
グリップを極力軽く握ることで、「水中の変化」を敏感に感じ取ることができますので、
今まで意識したことがなかった方は、是非実践してみてください。
まとめ
今回は、「スレたメバルを釣るためのフォールアクション」について解説してきました。
最初の章「メバルの生態」冒頭部でもお話ししましたが、
釣果を出すために最も重要なのは、
「どのようなルアーを使うのか」でも「どのようにアクションをつけるのか」でもなく、
「魚の生態を知ること」だと私は思います。
魚の生態を知った上で、状況に合わせたルアー選定や釣り方を工夫していくことが望ましいと思います。
それでは、本記事のまとめを下に記します。
- メバルはストラクチャーフィールドを好む
- メバルは立ち泳ぎのような姿勢で上を向いてホバリングしているため、上から落ちて(フォールして)くるものに対して好反応を示しやすい
- 大型のメバルは潮に着く
- メバルの産卵期は12月から2月(地域性・個体差による)
- スレたメバルを釣るためのフォールは、「ルアーを潮に乗せるフォール」
- ロッドを軽く握ることで、潮流変化やアタリを捉えやすくなる
メバルは、強烈な引きを楽しませてくれるだけでなく、
大型個体ともなると、
樹木の年輪をも彷彿させる厚みのある肉体に、
思わず惚れ惚れしてしまうような勇ましい見た目をもつ魚です。
そんな、魅力が詰まった「メバル」という生き物を相手にした、
「メバリング」という素晴らしい遊び(スポーツ)を、
これから先も末長く楽しませてもらえるよう、
小型個体や抱卵個体はもちろんのこと、尺メバル等の大型個体を必要量以上持ち帰る行為は、極力お控えいただけるよう、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
今回解説した「スレたメバルを釣るためのフォールアクション」を、皆様の引き出しの一つとしていただき、
デカメバルを釣る感動を共有できれば幸いです。
それでは皆さん、より良いフィッシングライフをお過ごし下さい☺️