今回は、
「テキサスリグを駆使してキジハタゲームを攻略する方法」
について解説します。
本記事は以下のように悩まれている方に向けた記事となります。
- キジハタの釣り方がわからない
- キジハタをテキサスリグで釣るためのコツを知りたい
- おすすめのタックルを知りたい
ここ数年で人気が急上昇している釣りの一つとして、ロックフィッシュゲームが挙げられます。
地形を把握し、ボトムを探る楽しさ、
獰猛さを感じるバイトと強烈な引き、
そして、上質な舌触りと旨味の強い肉質。
釣ってよし、食べて良しのターゲット。
それがキジハタです。
私自身、1年を通して、このキジハタをメインターゲットにしたロックフィッシュシーズンを最も楽しみにしており、天候の良い週は週7で釣行します。(毎日です😂)
今回は、そんな愛して止まないキジハタをターゲットにしたロックフィッシュゲーム (※以下キジハタゲーム)について、
テキサスリグを使った釣り方に絞って解説していきたいと思います。
なお、私のメインフィールドが四国ということもあり、本記事は主に瀬戸内海におけるキジハタゲーム攻略に特化したものとなりますので、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
キジハタの生態
いくら釣り方を細かく勉強したとしても、魚の生態を理解していなければ、頭でっかちの視野の狭いアングラーになってしまいます。
逆に言うと、釣り方を知らなくても、生態を知っておくだけで、釣り方は何となくイメージでき、状況にアジャストさせることができます。
さらに、魚の生態を知っておくことで、「何故釣れたのか」ということに対する結論付けや考察をすることができるため、釣りの楽しさや奥深さを知ることができることも、大きなメリットの一つだと思います。
本記事は、キジハタゲームについて書く最初の記事ですので、例の如くキジハタの生態から解説していきます。
なお、キジハタゲーム攻略に大きく寄与する生態特徴として、以下の3点が挙げられます。
- キジハタの生息環境
- キジハタの食性
- キジハタの産卵期
この3点をしっかり把握しておくことで、キジハタの「釣り方」や「投げるべきルアー」を状況に応じて選択することができるようになります。
キジハタの生息環境
キジハタは、青森県以南の日本海沿岸、太平洋沿岸、瀬戸内海、九州沿岸と広く生息している魚と言われています。
※今後、地球温暖化による海水温の上昇に伴い、生息域が拡大するという見解もあります。
生息しているフィールドの特徴としては、
- 岩礁帯
- 藻場(ウィード)
- テトラ帯
- 堤防際
つまり、身を隠せられるストラクチャーがあり、ベイトが豊富なフィールドに生息しています。
実際に、上記のような様々なフィールドでキジハタを釣ってきましたが、
特別、大型のキジハタ(50センチ前後)をキャッチできたフィールドの特徴として、
潮通しが良く、底質は砂地で藻場と岩礁が点在するエリア
という特徴が挙げられます。
贅沢な条件ではありますが、そういったポイントを見つけたら、実績が無くとも、是非キジハタを狙ってみてください。
キジハタの食性
キジハタの主な捕食対象としては、次の生物が挙げられます。
ベイトフィッシュ |
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甲殻類 |
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その他 |
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上記のように、キジハタは意外と何でも捕食します。
では、どういう時に魚を食べ、どういう時に甲殻類を食べるのでしょうか。
あなたはキジハタの食性を調べた時に、下記のような記事を見かけたことはありませんか?
小型のキジハタはエビやカニなどの甲殻類を捕食しており、
大型のキジハタはベイトフィッシュを捕食している。
ネット記事のみならず、YouTube上においてもこのように解説されている動画がいくつかあがっていますが、
この情報は大嘘です。
大型個体は甲殻類を一切捕食しないのか?
否。大好きです。
※この個体はホッグ系(主に甲殻類を模した)ワームを使用して釣れました。
一方、小さい個体は魚類を一切捕食しないのか。
否。めちゃくちゃ好きです。
※この個体はベイトフィッシュを模したワームを使ってスイミング釣法で釣りました。
確かに、ベイトフィッシュを模したワームにしか反応しない時や、
クロー系やホッグ系といった甲殻類を模したワームにしか反応しないような偏食パターンもあります。
しかし、個体のサイズによって捕食対象が変わるということは絶対に無いので、この間違った情報を鵜呑みにしている方は、今すぐその固定概念(視野の狭い知識)を捨てるようにしましょう。
キジハタの産卵期
キジハタの産卵期はいつなのかということを解説する前に、キジハタのオスとメスの個体についてのお話しをします。
キジハタは雌性先熟という性質を持っており、まずはメスとして成長します。
そして、ある程度サイズが大きくなるとオスに性転換します。
では、何センチ以上になればオスに変化するのでしょう。
答えは、「個体による」です。
30センチ以上でオスになると言われていたり、40センチ以上でオスになると言われていたりと、三者三様の見解がありますが、
私の経験上、40センチ前後から性転換しているように感じます。
またサイズに関して言うと、どの魚種についても言えることだと思いますが、
「大きい個体は大きくなるべくしてなっている」ということが言えます。
つまりどういうことかというと、大きい個体は臆病で警戒心が強いが故に、他のフィッシュイーターや釣り人に捕食されることなく生きながらえているということになります。
少し話が逸脱しましたが、以上がキジハタのオスとメスに関するお話です。
では、キジハタの産卵期はいつなのか。
私がキジハタの産卵期についてお話する上で、読者様に一番お伝えしたいのは、逆算して釣行して欲しいということです。
キジハタの産卵期は、おおよそ7月から8月と言われています。
ご存じの通り、産卵という行為は稚魚が育ちやすい環境が選ばれるため、藻場や岩礁帯がある沿岸部がほとんどです。
そして、そういったフィールドを産卵場所としたキジハタは、7月から8月に産卵期を迎えるにあたって、それより少し前に大型のオスが、水温の安定した深場から差してきます。
そして、生殖行為を終えた大型の個体は、水温の安定した深場へと帰って行きます(※浅場に残る個体もいます)。
つまり何が言いたいのかというと、
大型個体を釣りたいのであれば、4月〜7月を狙うべし!
ということです。
地域性はあると思いますが、気持ち少し早めの時期を狙って釣行されると、大型のキジハタに出会えるチャンスが増えると思います。
テキサスリグを駆使してキジハタゲームを攻略
テキサスリグとは、バレット(弾丸形状)シンカー(オモリ)と言われる中通しのシンカーにラインを通して、フックを結ぶといった単純な仕掛けです。
テキサスリグの特徴として、
- 根掛かりしにくい
- ボトムパンピングからスイミングまで幅広くアクションをこなす汎用性の高さ
という2点が、主に挙げられます。
特に、根掛かりのしにくさから、攻めた釣り(ストラクチャーの隙間や穴の中等を探る釣り)を展開したい時に、非常に重宝するリグであるため、
私自身、最も使用頻度の高いリグでもあります。
本章では、そんな万能リグであるテキサスリグに関して、
おすすめのセッティングや操作方法について解説していきたいと思います。
タングステンシンカーを使うべし
基本的にボトム付近を攻めることの多いロックフィッシュゲームにおいては、
タングステンシンカーを使用することを強くおすすめします。
ロックフィッシュゲームとは、ある種根掛かりとの戦いであり、いかに根掛かりを回避しながらストラクチャーを攻められるか、という釣りだと思います。
では何故、タングステンシンカーをおすすめするのか。
理由は2点あります。
- 高比重であることによってシンカーサイズを小さくできる
- 高硬度であることによってシンカーが変形しにくい
という理由です。
まず1点目の「高比重であることによってシンカーサイズを小さくできる」ということについて、
鉛の比重が11.36(g/㎤)であるのに対し、タングステンの比重は19.30(g/㎤)です。
つまり、同じ重量でも鉛シンカーに比べてタングステンシンカーは、約5分の3ほどの大きさしかないという事です。
従ってタングステンシンカーは、鉛シンカーではすり抜けられなかったストラクチャーの隙間や穴にルアーを通すことができるだけではなく、
潮流を受ける面積を小さくできることにより、ボトムでシンカーが流されにくくなるため、根掛かりしにくいというメリットがあります。
次に2点目の「高硬度であることによってシンカーが変形しにくい」ということについて、
鉱物の硬さを表すために、モース硬度という指標が一般的に使われます。
モース硬度とはランク1〜10で構成されており、最も硬度の高い鉱物として、ダイヤモンドがランク10に設定されています。
そのモース硬度によって表されるタングステンの硬度は、
なんと、ランク9です。
タングステンはダイヤモンドの次に硬いランクの素材として位置付けられているほどの硬い素材であるため、岩礁などにぶつけたり、強い力で根掛かりを外したりするくらいでは変形しません。
鉛シンカーがタングステンシンカーに比べて根掛かりしやすい原因の一つとして、
鉛は柔らかい素材(モース硬度ランク1.5)であるため、ストラクチャーの隙間等に根掛かったシンカーを外そうとする際、シンカーに大きな力がかかることでそのストラクチャーの隙間にピッタリはまるような形でシンカーが変形してしまい、ルアーが回収できなくなってしまうということが挙げられます。
上記理由から、ロックフィッシュゲームに使用するシンカーはタングステン製を使用することをおすすめします。
タングステンシンカーは鉛シンカーに比べて高価だから使いたくない、という意見をしばしば耳にしますが、
鉛シンカーを10個ロストするのと、タングステンシンカーを3個ロストするのとでは、どちらの方が損失が大きいでしょうか。
答えるまでもなく、前者の方が損失が大きいですよね。
金銭的な理由だけでなく、手返しの観点からもタングステンシンカーを使わない理由は無いと思います。
タングステンシンカーを使う場合、ビーズは特に必要ない
テキサスリグの場合、バレットシンカーとフックの間にビーズをセットすることがあります。
このビーズの役割は、ノットガード(シンカーがノットに直接当たる事で、フックを結んでいるノット部分にかかる衝撃を緩和する)だけでなく、
音を発生させる役割があります。
「音が釣果にどう影響するんだ?」と思われた方も少なく無いと思います。
しかし、ロックフィッシュ以外の釣りをされている方であれば想像に易いと思いますが、
「ラトル入りルアー」ってありますよね。
「あ!そう言われてみればそうか!」
という声が聞こえてきます😂
話を戻しますが、ビーズがストラクチャーに擦れることで、アピール要素である”音”を発生するというわけです。
では何故、「タングステンシンカーを使う場合、ビーズは特に必要なし」と言えるのか。
それは、前述にもあるタングステンの硬度に答えがあります。
想像してみてください。
「柔らかいものが岩に当たる時に生じる衝撃」と「硬いものが岩に当たる時に生じる衝撃」
どちらがより大きい衝撃を発生させるでしょう。
後者の方が、より大きい衝撃を発生させられるはずです。
つまり、ダイヤモンドに近似する硬度を持つタングステンシンカーを使えばビーズは必要ないという結論に至ります。
実際、私が今まで釣ってきたランカークラスのキジハタは、タングステンシンカーを使用し、かつビーズをセットしないテキサスリグで釣ってきたため、実釣に基づくデータだと言えるでしょう。
シンカーは「固定」と「フリー」どちらがいい?
バレットシンカーを「固定」にするか「フリー」にするかということに関しては、絶対こうした方がいい、とは言い切れません。
というのも、状況に合わせて使い分ける必要があるからです。
では、どういう状況で「固定」と「フリー」を使い分けるのか。
ざっくり言うと、
「固定」
非常に根掛かりのしやすい穴やスリットだらけのポイントで使用
「フリー」
さほど根掛かりはしないけど食い渋っている状況で使用
上記を判断基準として使い分けていただくと、思い通りに釣れない状況を打開できる確率が上がります。
キジハタを釣るためのテキサスリグの操作方法
前述にもある通り、テキサスリグはアクションの汎用性が高く、根掛かり回避能力に優れています。
そのような万能なリグをどうやって操作すれば、キジハタを釣ることができるのか。
今回は2つのアクションについて解説します。
リフトアンドフォール
1つ目のアクションは「リフトアンドフォール」です。
最もオーソドックスなアクションではありますが、ロッドの微妙な操作によって千差万別の動きを生み出せる、奥の深いアクションだと思います。
一般的にリフトアンドフォールというと、ロッドの角度を上げてルアーをリフトし、そのままフォールに移るといったアクションです。
とりわけキジハタに関していうと、リフトアンドフォールの”フォール”時にバイトが集中します。
つまり、リフトアンドフォールのアクションにおいて意識すべきことは何か。
それはフォールのさせ方です。
リフト後、ロッド角度を維持してルアーをフォールさせた場合、テンションがかかった状態でカーブフォールします。
このカーブフォールによるルアーの移動距離は、リフトする高さによって大きく変わりますが、実は思っている以上に長い距離を移動しています。
私の経験上、このテンションをかけた状態のカーブフォールが効くのは、キジハタの活性が非常に高い時がほとんどだと思っています。
長い移動距離でもチェイスしてくるほどのアグレッシブな個体を狙うために、サーチ的な意味合いで、このテンションをかけたカーブフォールを使います。
しかし、ご存知の通り、そのようなアグレッシブな個体は多くいません。
では、食い渋っているような厳しい状況下で何とか一本獲るためのリフトアンドフォールの極意とは何か。
それは、
フォールの移動距離を抑えて、よりタイトに、より丁寧にボトムを探ることです。
よりタイトに攻めたい時のリフトアンドフォールのロッド操作は、
リフト後、フォールするルアーを追従するようイメージして竿先を下げていくと綺麗にフォールさせることができます。
そうすることによって、ルアーをより鉛直下方向へフォールさせることができ、移動距離を抑えられます。
テンションをかけたカーブフォールが効かない時は、是非実践してみてください。
スタックアンドシェイキング
玄人ロックフィッシャーの方にとっては、お馴染みのアクションだと思います。
スタックアンドシェイキングとは、前述の「音によるアピール」に関連したアクションです。
では、具体的にどういったアクションなのかというと、
今までにキジハタを釣ったことがある方で、根掛かったルアーを外した瞬間に食ってきた、という釣れ方をした経験のある方は多くいらっしゃると思います。
その「釣れ方」を「釣り方」に変えるのです。
敢えてルアーを根掛かりさせて、そこでシェイキングすることでシンカーをストラクチャーにぶつけて音を発生させ、かつルアーの艶かしい動きでアピールします。
要するに、音でキジハタを誘き寄せ、ルアーの艶かしい動きで食わすといったイメージです。
このアクションで釣れるタイミングとしては、ストラクチャーの中で釣れることもありますが、ストラクチャーを抜けた瞬間にリアクションバイトしてくることが多いので、根掛かりが外れた瞬間は特に集中してください。
テキサスリグを使った釣りに適したおすすめのタックル
本記事は、キジハタの釣り方をメインに書いた記事であるため、おすすめのタックルを詳しくご紹介する記事は別記事にまとめて公開するつもりです。
しかし、ロックフィッシュタックルについて悩まれている方は多くいらっしゃるように思いますので、今回は私が絶大なる信頼をおいているメインタックルのみご紹介します。
実際に私も、様々なロックフィッシュロッドを購入して使ってきましたが、自分のよく行くフィールドに合うロッドは今使っている一本だけでした。
どのロッドにおいても言えることだと思いますが、使い手のメインフィールドに合ったロッドを選ばなければ無用の長物となってしまいます。
ご自身のよく行かれるメインフィールドの特徴が、私のメインフィールドの特徴と近い方で、かつロックフィッシュロッドのご購入を検討されている方は、下記のタックルを購入して損は無いと思います。
ロッド:アブガルシア Eradicator Rocksweeper ERSC-777H-ML GAMBLERS DREAM(ギャンブラードリーム)
出典:アブガルシア
私のよく行くフィールドの特徴として、
- 足場が高く(5m程度)水深の深い(15m程度)堤防
- 足場の低いシャローのテトラ帯
- 足場が3m程の高さがあり、水深10m程の地磯
が挙げられます。
3つの項目のうち、上の2つのフィールドでの使用感は抜群です。
3つ目の地磯での使用感に関しては、少しレングス不足を感じますが、実際この地磯で、80cmの真鯛をランディングさせることができたため、問題なく使用できます。
ルアーウエイトについては、
5g〜14gの軽量リグを使った丁寧なボトムパンピングに特化した使用感でありながら、30g程度のジグヘッドを使ったスイミング釣法も問題なく使用できます。
また、ボトム感知に優れた繊細なティップを持ちながら、大型個体をも浮かす強靭なバットを持ち合わせているため、ロックフィッシュゲームにおいては、まさに理想的な一本と言えるでしょう。
リール:シマノ エクスセンスDC SS XG
ロックフィッシュゲームにおいて多用するリフトアンドフォール時に発生するスラック(糸ふけ)の素早い回収と、
根に潜ろうとするキジハタをポンピング(リールの巻上げで魚を浮かせるのではなく、ロッドをリフトすることで魚を浮かせる方法)することによって発生するスラックの素早い回収を可能にするXG(エクストラハイギア)は個人的には必須だと思っています。
また、エクスセンスDCSSは5g前後の軽量リグを安定した飛距離でキャストすることも可能ですので、軽量リグを多用するキジハタゲームに関しては非常に重宝します。
まとめ
今回は「テキサスリグを駆使してキジハタゲームを攻略する方法」について解説しました。
本記事が、キジハタに関する最初の記事であったため、冒頭でキジハタの生態について触れましたが、
「生息環境」「食性」「産卵期」についてはキジハタのみならず、他の魚種をターゲットにした釣りにおいても肝要な基礎知識であるため、確実に把握しておきましょう。
今回解説したキジハタゲームにおけるテキサスリグのポイントを下記にまとめます。
- タングステンシンカーを使用する
- 根掛かりが多発するポイントではシンカーを固定する
- 食い渋っている状況下ではシンカーをフリーにする
- リフトアンドフォールのフォール時に竿先を少しずつ下げて、ルアーの移動距離を抑える
- スタックアンドシェイキングでリアクションバイトを狙う
上記が本記事のまとめとなります。
キジハタゲームはゲーム性が高く、そして中毒性の高いバイトを感じられる楽しい釣りだと思います。
さらに、食べて美味しいという最高のおまけ付きです。
しかし、キジハタは根魚ということもあり、個体数が少ない上に根絶やしにしてしまえば、フィールドから消えてしまう可能性のある魚です。
資源確保のため、「小さい個体のリリース」と「持ち帰りは食べられる分だけ」ということを意識していただき、永くキジハタゲームを楽しんでいけるよう、皆様にご理解いただければ幸いです。
それでは皆さん、より良いフィッシングライフをお過ごしください☺️