今回は、フロートゲーム・エギング・スーパーライトショアジギング・ライトロックフィッシュ・ミドルゲーム等で4年間ずっと愛用している、
「BlueCurrent 85/TZ NANO All-Range」
について、使用感等を解説していきます。
ご購入を検討されている方の参考になれば幸いです。
ロッドのインプレッションに先立ち、「ヤマガブランクス」について少し解説します。
ヤマガブランクスとは、熊本県山鹿市に拠点を置く、国産ロッドメーカーです。
安心の国産メーカーでありながら、コストパフォーマンスに優れたロッドを展開し、国内に留まることなく、世界中で根強いファンを多く擁する一流ロッドブランドです。
ヤマガブランクスのロッドは、「魚をかけると良く曲がる、使って楽しいロッド」という特徴が挙げられます。
さらに、自重も軽く、しなやかで強いチューブラーロッドを多く展開しています。
Contents
「BlueCurrent 85/TZ NANO All-Range」のスペックについて
出典:ヤマガブランクス
まず、「BlueCurrent 85/TZ NANO All-Range」の基本的なスペックについて解説します。
ロッドレングス(長さ) | 8フィート5インチ(257cm) |
---|---|
ロッド自重 | 84g |
継数 | 2本継 |
適合ルアー重量 | 3〜21g |
適合ライン | PE 0.4〜1.0号 |
さらに、ロッドガイドはTZチタンフレームKガイドを採用し、
ブランクには、ナノアロイ®︎テクノロジーを採用しています。
※「TZチタンフレームKガイド?」「ナノアロイ®︎テクノロジー?」とハテナがついた方がいらっしゃると思いますが、後ほど解説しますのでご安心下さい。
2016年春の発売から、6年の歳月が経とうとしていますが、
「ヤマガブランクス渾身のファイナルウエポン」と公式で謳っているだけあって、
未だにリニューアルされておらず、すでに完成されたロッドとして、今もなお全国のアングラーを魅了し続けています。
もちろん私も魅了され続けています(笑)
ライトゲームにおける究極のバーサタイル(なんでも)ロッド
ホームページを見て驚かれる方もいらっしゃられると思いますが、
- ターゲット:なんでも
- ルアー :なんでも
- フィールド:どこでも
と表記されています。
ふざけてんのか!
と思っちゃいますよね😂
でも、本当にどこでもいろんな釣りができてしまうのです。
現に私は、
- フロートゲーム
- エギング
- ライトロックフィッシュ
- メバルプラッキング
- スーパーライトショアジギング
これだけの釣りを、この一本で4年間やってきました。
軽い、強い、高感度という三拍子が揃った、ライトゲームにおいて最強の万能ロッドです。
この3つの要素について、それぞれ説明していきます。
長さの割に”軽い”
まず、8フィート5インチというレングスで84gという驚異的な軽さ。
特筆すべきは、ロッド自体のバランスの良さも相まって、まるで指先の延長のようにすら思えてくるナチュラルさ。
この”軽さ”は「疲労感の軽減」と「高感度」をもたらしてくれます。
さらに、チューブラートップロッドということもあり、穂先が非常に軽いため、
「軽快で繊細なルアー操作」と「潮流の感知」が可能です。
また、TZチタンフレームKガイドという、チタン素材による耐食性及び軽量化、トルザイトリングによるガイド自体の薄型化を実現した、「富士工業株式会社」が誇る最高峰のガイドを使用しており、
ラインがガイドに触れる面積を極限まで抑えられるため、糸抜けが非常によく、
さらに、ガイド自重自体が軽いため、アクションが非常に軽快です。
細さの割に”強い”
「こんなに細いのに、こんなに強いの!?」
これが、BlueCurrent 85/TZ NANO All-Rangeで初めて魚をかけた時に思ったことです。
この真鯛は、BlueCurrent 85/TZ NANO All-Rangeを1年ほど使い込み、ある程度慣れてきてた時に釣った個体で、48cm程ありました。
釣れた時の状況は、ブリーデンのビーバイブというハードルアーで、ボトム付近をリフトアンドフォール、
すると、フォール中に「ドン!!」という大きいアタリがあり、強めにフッキングしました。
真鯛特有の「カンカンカン」と叩くような引きにも素直に追従してくれて、PE 0.6号というライトラインでしたが、それを感じさせない安心感をもたらしてくれました。
ただロッドを曲げて、落ち着いてやり取りをしているだけで、徐々に魚の体力が削られていくことをロッドを通じて感じ、気がつけば魚が水面に浮いてきていたという状況でした。
その際、このロッドの強さの所以となる2つの要素に気づきました。
それは、「スローアクション」と「ナノアロイ®︎テクノロジー」です。
まず、「スローアクション」がもたらす強さについて説明します。
スローアクションとは、魚をかけるとロッド全体が曲がり込むことを言います。
ロッド全体が曲がり込むことによって、魚の引きを吸収し、走りに追従してくれます。
そして、曲がったロッドは元の位置に戻ろうとする(復元しようとする)力が働くため、走り疲れた魚を浮かせられるというわけです。
では、「ナノアロイ®︎テクノロジー」とは何か。
ナノアロイ®︎テクノロジーとは炭素繊維(ロッドの素材)に染み込ませてあるレジン(樹脂)の分子構造を約1000分の1倍の細かさで成型させる技術のことで、ロッド強度(折れにくさ)と復元力が飛躍的に向上します。
この説明で分かった方はさすがです。
つまり、ナノアロイ®︎テクノロジーによって高められた復元力によって、魚が疲れやすく、そしてより魚を浮かせやすくなるというわけです。
また、この復元力の高さは、飛距離アップに繋がるシナジー効果をも付与します。
まさに革新的ですよね。
今では、各ロッドメーカーのハイエンド機種で、この「ナノアロイ®︎テクノロジー」を採用するロッドが増えてきており、ロッドの新常識となりつつありますが、
BlueCurrent 85/TZ NANO All-Rangeは、「ナノアロイ®︎テクノロジー」の開発直後に取り入れたロッドであるため、「ナノアロイ®︎テクノロジーのパイオニア的ロッド」とも言えるでしょう。
話を戻しますが、この「スローアクション」×「ナノアロイ®︎テクノロジー」の調和によって生み出される強さがあったからこそ獲れた真鯛でした。
圧倒的”高感度”
感度については、文句の付けようがありません。
ラインテンションを張らず緩めずの状態でのボトムタッチはもちろんのこと、
集中すれば底質(石、砂地、コンクリート構造物等)まで把握できます。
また、魚のアタリに関しても、
非常に高い反響感度によって、わずかなアタリも逃しません。
驚くべきは、産卵期特有の居食いしている時のような「モゾッ」とした、もはや違和感レベルのアジのあたりを取ることができたことです。
※動画前半のフロートアジングが、まさに産卵期のアジングでした。最終手段である汁物系ワームを駆使しましたが、アタリは微妙な物が多かったです。
「コッ」や「ツッ」のような誰でもわかるアタリはもちろんのこと、
ほんの少しラインに重みが乗ったかな?と疑心暗鬼でゆっくりと聞きアワセを入れると乗る、というような最高に楽しいアタリまで伝えてくれます。
しかもフロートゲームでです。
この種のアタリは、ジグ単専用ロッドでも取り兼ねるようなアタリで、自重の軽さとロッド自体のバランスの良さ、入りすぎないけど微妙に入る穂先を持つロッドでなければ感じとる事が難しいアタリです。
そのようなアタリをフロートゲームで感じ取れたという事実が、それ以降の釣行におけるこのロッドへの信頼に繋がりました。
特別信頼をおけるロッドは他にもありますが、BlueCurrent 85/TZ NANO All-Rangeはその中でも最も長く時間を共にしてきたロッドなので、私にとっては非常に思い入れのあるロッドです。
“なんでもロッド”と言いながら実際はどの釣りに向いているの?
この章では、BlueCurrent 85/TZ NANO All-Rangeの異名でもある「なんでもロッド」ということについて、少し掘り下げて解説していこうと思います。
冒頭でもお話ししましたが、私はこのロッドで様々な魚種を様々なフィールドで釣ってきました。
中でも、ライトロックフィッシュ・シーバスフィッシング・エギング・フロートゲームの4つの釣りにおいて、ある程度使い込んできました。
今回は、それら4魚種における使用感についてお話しします。
※評価をわかりやすくするため、星0〜5.0で表現していますが、あくまで個人的見解ですので、悪しからずご理解願います。
ライトロックフィッシュ
(星3.5)
ヤマガブランクス公式サイトの中で、BlueCurrent 85/TZ NANO All-Rangeについて触れた記事があり、その記事によると、当初BlueCurrent 85/TZ NANO All-Rangeはライトロックフィッシュ用に作られたロッドとのことです。
それもあってか、ボトム感知能力は非常に高く、感度も良いため魚のアタリも明確に伝えてくれます。
また、パワーもある程度あるので、35cmくらいまでのキジハタだと普通にやりとりできます(ランディングネットは必須)。
ロックフィッシュとは少しかけ離れますが、このマゴチはロックフィッシュを狙っている時に釣れてくれた個体でした。
サイズは50cm程ありましたが、正直余裕でランディングできたので、やはりパワーに関してはライトゲームロッドクラスでは強い方だと思います。
しかし、3年ほどやり込んでいると、ちょっとした不満も出てきました。
それは、根掛かり回避能力が低いということです。
ロッドアクションがスロー気味であるため、根掛かりの際に、根に食い込みやすく感じます。
これについては、私がロックフィッシュゲームにおいてメインで使用している「アブガルシア ロックスイーパー エラディケーター 777H-ML」というファーストアクションのロッドと比較して初めて気づいたことでした。
「根掛かり回避」というのはロックフィッシュゲームにおいては非常に重要な要素になります(単純に根掛かりしない方が良いということではなく、根がかっても外し易いロッドが良いという意味)。
ですので、ロックフィッシュに力を入れたいとお考えの方の中で、特にこのロッドをメインロッドにしようとお思いの方は、一旦他のロッドと比較検討されることを推奨します。
シーバスフィッシング
(星4.0)
シーバスフィッシングについては、個人的には非常に相性の良さを感じました。
ロッドアクションがスロー気味であるため、ミノーなどの巻物ルアーも扱いやすく、アタリを弾くことなく、しっかりフィッシュオンさせることができます。
魚しか写っておらず状況やヒットルアーがわからないと思いますので、言葉で説明します。
このシーバスは、水深1〜2m程の遠浅な地磯で釣った個体です。
ヒットルアーはブリーデンのメタルマル19g(プラチナキャンディ)でした。
出典:ブリーデン
時間帯は朝マズメでした。
引き潮によって露出した岩礁の際にキャストし、ロッドを45°くらい立てた状態で中層をリトリーブさせているとヒットしました。
55cm程のセイゴサイズだったので、ランディングは余裕があり、ゴリ巻きしてこられました。
こうしてお話ししていると、「シーバスにも向いてそうなのに、どうして星4つなの?」と思われるかもしれません。
しかし、これについては既にお気づきの読者様もいらっしゃるとは思いますが、
ランカーサイズを狙った釣行には全然向きません。
このロッドで80cmや90cmのランカーサイズをかけたことがないため、あくまで体感的な予想にはなりますが、70cm以上のシーバスとのファイトだと、主導権を握ることはまずできないでしょう。
BlueCurrent 85/TZ NANO All-Rangeは、あくまでもライトゲームロッドにカテゴライズされるため、ランカーサイズのシーバスも視野に入れた釣りをされたい方は、「シーバスロッド」のご購入をおすすめします。
エギング
(星4.0)
BlueCurrent 85/TZ NANO All-Rangeを使用したエギングについては、正直、星4.5にするか星4.0にするかで迷いました。
まず始めに、BlueCurrent 85/TZ NANO All-Rangeを購入した動機として、
「いろんな釣りをロッド1本でやりたい」という思いがありました。
エギングをするため”だけ”のロッドを買うのではなく、
エギング”も”できるロッドが欲しかったのです。
よってこのロッドは、私が初めて手にしたエギングロッドでした。
つまり何が言いたいのかというと、エギングのエの字も知らない者が初めてこのロッドをエギングのために使用した感想としては、一級品(星4.5)だったということです。
飛距離も出て、軽いからシャクリやすい。
実際に今まで、BlueCurrent 85/TZ NANO All-Rangeで優に100杯を超えるイカを釣ってきましたし、春イカも獲りました(サイズは振いませんでしたが)。
そして、2021年9月から11月までの2ヶ月間、私はエギングを上達させたいという思いで、全釣行エギングのみをやりました。
そこで見えてきた、BlueCurrent 85/TZ NANO All-Rangeの不足部分(何故星4.0なのか)についてお話しします。
まず、「ロッドエンドが少し長い」ということが挙げられます。
エギングの基本動作である”シャクリ”を行う際、ロッドエンドが長いとどうしても邪魔になります。
ロッドエンドがガツガツと二の腕に当たって釣りにならないということはありませんが、
少し腕を伸ばした状態でシャクリを入れなければ、スムーズにシャクることが出来ないということがデメリットとして挙げられます。
2点目の不足部分として、
「シャクリによる穂先の収束が遅い」ということが挙げられます。
現在私がエギングにおいてメインタックルとして使用している「エバーグリーン スキッドロウ インペリアル フェザージャーク77」と比較すると、
明らかに、シャクリ後の穂先の収束が遅く感じます。
シャクった後に穂先が収束しないということは、シャクった後に穂先がブレているということです。
このブレが、エギの緻密な操作を阻害します。
「そこまで神経質にならなくてもイカは釣れるよ」と言われてしまえばそれまでですが、
一つ一つのエギの動作にこだわりたいと思って以降、
BlueCurrent 85/TZ NANO All-Rangeを使ったエギングでは、テンションをかけた状態でのシャクリに自信が持てなくなってしまいました。
とは言っても、スラックジャークメインのエギングでは問題なく使用できるため、
あくまでもライトゲームロッドの中では、圧倒的にエギングはやり易い方だと思います。
よって、個人的にエギングに関しては、
「エギング以外の目的でポイントに足を運んだが、不意にイカの存在を感じた時にエギングも出来てしまうロッド」
という位置付けとなるため、私の中では星4.0に留まりました。
フロートゲーム
(星5.0)
BlueCurrent 85/TZ NANO All-Rangeはやはり「ライトゲームロッド」だということです。
ライトゲームの中でも、特にフロートゲームにおけるこのロッドの評価は星5.0です。
- 「遠方で微細なアタリを捉える感度」
- 「飛距離」
- 「操作感度」
- 「ファイトパワー」
魚を獲るために必要なこの4つの要素が高次元である事に加え、
ロッド自体がしっかり曲がって、アングラーを楽しませてくれるという「お楽しみ要素」も併せ持っています。
最高過ぎませんか。
既にフロートゲームをある程度やり込まれており、ステップアップのためのフロートゲーム用ロッドをお探しの方へ、おすすめの1本をご紹介するとしたら、
間違いなく「BlueCurrent 85/TZ NANO All-Range」です。
まとめ
「なんでもロッド」というのは、汎用性を高めるために、(良い意味での)ピーキーさを犠牲にしてしまう傾向があるように私は思います。
御多分に洩れず、BlueCurrent 85/TZ NANO All-Rangeも確かにそういった一面はあります。
しかし、それはライトゲームの枠を逸脱した釣りをした際に感じる事であり、
本職のライトゲームにおいては、「遠距離範囲を充分に攻略できる」というピーキーさをちゃんと持っています。
BlueCurrent 85/TZ NANO All-Rangeはこんな方におすすめ
- 今までフロートゲームで何度も切られている魚を釣り上げたい
- フロートゲームをステップアップさせたい
- ポイントに着いてから対象魚を決めたい
- 主に遠征釣行で持って行くロッド本数を減らしたい
ハイエンド機種ということもあり、一見すると高価ですが、性能やカバーできる魚種を考慮すると安価だと個人的には思います。
また参考までに、BlueCurrent 85/TZ NANO All-Rangeとバランスよく組み合わせられるリール自重は170g〜200g程度です。
本記事を読んで、BlueCurrent 85/TZ NANO All-Rangeを購入された方がいらっしゃいましたら、是非オールレンジ愛について一緒に語らいたいものです(笑)
今回のロッド紹介も、オールレンジ愛が強すぎるあまり長文になってしまいましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは皆さん、良いフィッシングライフをお過ごしください♪